デザインの力で進めるSDGs〜SDGsとデザインの関係性〜
SDGsの達成を目指し、さまざまな取り組みが進められています。本記事では、SDGsの達成を促進するための手法の一つとして「デザイン」に着目し、その有効性について考えてみたいと思います。サスアスの運営元であるデザイン制作会社としての知見をお伝えできれば幸いです。
また、当サイト内のデザインに関するコラムもまとめてご紹介していますので、ご覧いただければ幸いです。
デザインが考えること
「デザイン」には大きく分けて2つの意味が含まれており、広義には「問題解決のための設計・仕組み」、狭義には「設計されたものの見た目や形」の意味があります。
厳密に分けられるものでもありませんが、おおよそ下記のようなイメージで考えるとわかりやすいかと思います。
<例:紙を切る道具がほしい場合>
「広義のデザイン」が考えること
・2枚の刃で挟んで切断する仕組みにする?(ハサミ)
・直線状の刃で切断するようにする?(カッターナイフ)
「狭義のデザイン」が考えること
・色をカラフルにする?
・ハサミの持ち手を左利きでも使える形状にする?
SDGsとデザインの関係性
SDGsの達成を促進する手法として、そうしたデザインの視点が注目されています。
具体的に、デザインがSDGsにつながる場面を「直接的にゴールに結びつく場合」と「間接的にゴールに結びつく場合」に分けて見てみましょう。
<直接的にゴールに結びつく場合>
「広義のデザイン」の観点からSDGsの各ゴールの達成につながるケースでは、例えば、従来の家電を同じ機能を保持したまま省エネルギー型に「設計」し直すといった、環境問題の解決に直接つながる製品やサービスのデザインが挙げられます。
自然エネルギーを利用した建物を設計・デザインする「パッシブデザイン」も、SDGsにつながるデザインの取り組みとして注目されています。
「狭義のデザイン」の観点からは、例えば、視覚に障害を持つ方や外国人等にも配慮した色やフォント等を用いたユニバーサルデザインは、SDGsの理念「誰一人取り残さない、持続可能な社会」の実現につながっています。
また、商品パッケージに描かれたリサイクルマークは、文字だけで書かれているより伝わりやすく、効果的にリサイクルを促すことができます。
リサイクルでいえば、ペットボトルを再利用して衣類を作るといったことも、ものづくりにおける製作工程を持続可能なものに設計しなおしつつ、見た目・形を新しく生まれ変わらせることで付加価値を与えるという点で、デザインの発想が生かされているといえます。
【関連記事】
・楽器メーカーのSDGsへの取り組み
<間接的にゴールに結びつく場合>
SDGsに関する情報を正しく、わかりやすく伝えるためのデザインは、ゴール達成に間接的に貢献するといえます。
伝えるべき情報としては、SDGsの趣旨や各ゴールの内容、SDGsへの取り組み方法、SDGsの達成状況などがあります。Webサイトやパンフレット、チラシ、動画などをわかりやすくデザインしたり、カードゲームなどのツールやイベント、ワークショップなどを企画・デザインしたりすることでSDGsの普及を促す取り組みが行われています。
間接的といっても、重要性が低くなるわけではありません。例えばSDGsについて「環境問題に対するエコ活動」のみを指すと思っている人に、差別や貧困、働き方やまちづくりなどさまざまな問題が扱われていることを伝えることは、SDGsの達成に向けて大きな前進となるはずです。
企業・団体の情報発信も重要性が増しており、どのようにSDGsに取り組んでいるか開示していくことが求められています。各種企業報告書による情報発信や、近年では専用のWebサイト(ページ)を設ける企業も増えてきました。
せっかく取り組みを進めていても情報発信が不十分だったり、わかりづらかったりする場合は取引の減少や消費者からの信頼喪失、採用応募の減少など実利的な影響も出てきています。
【関連記事】
・企業報告書についての考察
・デジタル時代のサステナビリティ報告トレンドとは
・企業報告書の各種アワード
・有価証券報告書にサステナビリティ情報の開示が義務化
・SDGsビジネスとは何か ― CSRとSDGsの違い
企業のSDGs情報発信
サスアスでは、企業・団体のSDGsに関する取り組みをデザインの切り口から分析する記事を連載しています。随時更新してまいりますので、ご覧ください。
<製品>
・【デザインから見るSDGs】第一回:株式会社 明治「明治プロビオヨーグルトR-1」
・【デザインから見るSDGs】第二回:株式会社ゴールドウイン「THE NORTH FACE」のシューズボックス
<企業報告書>
・東洋アルミニウム株式会社『サステナビリティレポート2022』
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Sus&Us編集部