SDGsには、なんだか難しそうと感じる言葉が多く使われています。
その言葉の意味を知れば、SDGsをもっと身近に感じるはず。
今回は「ジェンダー」について解説します。

ジェンダーとは

ジェンダー(gender)とは、身体の特徴などに基づく性別(sex)に対して、社会的・文化的につくられる役割の違いに基づく性別のことをいいます。
いわゆる「女らしさ」や「男らしさ」の多くはジェンダーによるものです。「女性は料理が得意」「男性はリーダーシップがある」「女性は感情的」「男性は暴力的」……。こうしたジェンダーによる性別は、服装や髪形、言葉遣い、家庭での役割、職場での待遇、教育を受ける機会、さらには物事の考え方や人との接し方までさまざまな場面に及んでいます。

しかし、実際には料理が得意な男性もいますし、リーダーシップのある女性もいます。ジェンダーについて立ち止まって考えてみると、一見当たり前のように思える「女らしさ」や「男らしさ」が、実はつくられたものであることに気づきます。実際、「料理が得意な人は女性が多い」のかもしれませんが、それは「女性は料理ができなければいけない」と皆が思い込んでいるからそうなったのかもしれないのです。
「女らしさ」「男らしさ」はそれだけ強く、わたしたちの意識のなかで働いています。

ジェンダーがもたらす問題点

特に問題になるのは、「女性はこうあるべき・男性はこうあるべき」という考え方が、人を肉体的・精神的に傷つけたり、生き方の選択肢を奪ったりする場合が往々にしてあることです。

世界では、女性の3人に1人がパートナーから暴力を受けており、特に女性の社会的な地位が低い地域、貧困地域や紛争地域などで被害が多く見られます(WHOの調査より)。
日本でも、配偶者などから繰り返し暴力を受けた女性が、7人に1人いるといわれています(内閣府の調査より)。

また、南アジアをはじめ、いまだ世界のいたるところで女性が未成年で結婚・出産を強いられたり、アフリカを中心に、慣習として女性器切除が行われている現状もあります。セクシャルハラスメントは、日本でも社会問題となっています。

日本におけるジェンダー意識の典型例としては、「男性が働き、女性が家事をする」というものがあります。こうした意識が強い社会では、女性が働くポストが限られるうえ賃金も低く設定されるなど、生き方の可能性が狭められています。一方、男性も「ひたすら働き続ける」ことが求められ、競争の中で過度のプレッシャーにさらされることになります。

このような状況が自然なことなのか、慣習・伝統だから認めるべきなのかが問われています。不当な差別をなくし、社会的な立場での平等を達成しようというのが、「ジェンダー平等」の基本となります。

日本の現状

世界経済フォーラム(WEF)によるジェンダー平等の達成度に関する調査では、日本は156カ国中120位と先進国の中で最低レベルです。その要因に挙げられているのは下記です。

・国会議員、大臣の女性割合が約10%
・管理職の女性割合が約15%
・パートタイムの職に就いている女性の割合が男性のほぼ2倍
・女性の平均所得が男性より約44%低い

(出典:内閣府男女共同参画局「共同参画」2021年5月号

このような状況を改善するには、女性を積極的に重要なポストへ登用することが有効な手段ですが、その場合でも「リーダーとして女性らしい気遣いや細やかさを発揮してほしい」といった声を聞くことが珍しくありません。ここでも、男女平等を目指す取り組みにもかかわらず、「女性はこうすべきだ」という考えが紛れ込んでいます。

ジェンダー平等を達成するには、公平な制度や環境を整備することはもちろん、無意識の偏見に気づくことが大切だといえます。