記事・コラムTOPICS

COP28の要点・成果まとめ。2回の化石賞受賞に、化石燃料の廃止、GST、ロス&ダメージ基金など。

 11月28日から12月13日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議――通称「COP28」。今回の記事は、昨年、多くの話題を集めたCOP28の成果や決定事項、日本にどんな影響があったのかを解説します。最新のCOPではどのような進展があったのでしょうか。(参考:国連 気候変動枠組み条約とは?

COP28最大の注目点、化石燃料の段階的廃止とは?

 COP28の議題として特に注目されていたのは、温暖化の最大要因である化石燃料の「段階的廃止」に合意が集まるかどうかでした。当議題については前回COP27や前々回COP26でも議論されたものの、一部参加国の反対により、廃止ではなく「段階的な削減」という表現に留まりました。そして今回、「段階的な廃止」の合意は、COP26から持ち越された宿題だったのです。2年越しの課題解決は難航が予想され、それ故に開会前から注目を集めました。事実、COP28は12日までの開催予定だったところが13日まで延長されており、背景には合意文書の採択について難航があったとされています。
 では、こうした経緯をもって、会議はどのような結論へと至ったのでしょうか。結果から言うと、各国が13日に採択した合意文書では「段階的な廃止」に言及はされませんでした。しかし、採択案には「公正で秩序だって衡平な方法で、エネルギー・システムにおいて化石燃料を転換していく、この重要な10年にその行動を加速させる」という文言が記載されました。この文言は、石炭や石油、天然ガスといったすべての化石燃料からの脱却に言及したものです。これまで、化石燃料をめぐってはCOP26でも石炭火力発電所の段階的な削減について合意がなされてきましたが、今回の文言で、初めて石炭以外の化石燃料も対象とされたのです。
 これに伴い、スティル事務局長は記者会見で「化石燃料の時代に終止符を打つことはできなかったが、合意は化石燃料の終わりの始まりになる」と述べて成果を強調しました。一方で、やはり“廃止”という文言を避けた点には妥協の感が否めない他、途上国への支援など合意の実現についても懸念が残るため、今後も課題が山積みです。ただ、これらの点を加味しても、産油国であるUAEからこの文書がまとめられたことは評価点といえるでしょう。

第2の注目点、グローバル・ストックテイクとは?

 COP28でのもう一つの大きな議題が「グローバル・ストックテイク(以下、GST)」です。GSTとは、パリ協定に基づく排出量削減の取り組みや進捗状況について、5年ごとに評価するための仕組みのこと。現在掲げられている排出削減目標は、あくまで各国が自主的に定めたものに過ぎないため、実際にパリ協定の目標に届きうるのか判断する必要があるのです。
 GSTは、①情報収集と準備、②技術的評価、③成果物の検討という3つの段階から成り立ち、COP28の開会前に①と②は完了しています。COP28の期間中は、成果文書を策定して各国にとるべき行動の示唆や必要な情報が与えられるという、③の段階が実施されました。この成果文書は一国一国に言及するものではありませんが、参加国にとっては自国のとるべき対応の指針となります。そのため、実質的にこの文書に左右される形で排出削減の目標更新がなされるのです。
 
 文書は2週間にわたる議論・交渉の末に採択され、下記の内容が盛り込まれました。
●1.5℃目標達成のための緊急的な行動の必要性
●2025年までの排出量のピークアウト
●全ガス、全セクターを対象とした排出削減
●各国ごとに異なる道筋を考慮した分野別貢献
・再エネ(再生可能エネルギー)発電容量3倍・省エネ改善率2倍のほか
・化石燃料
・ゼロ・低排出技術(原子力、CCUS、低炭素水素等)
・道路部門等における取組
※外務省HP:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/pagew_000001_00076.htmlより

 そしてこれらの内容を以て、国の削減目標に当たるNDC(Nationally Determined Contribution:国が定めた貢献)が更新されます。NDCの更新は5年ごとです。2025年に開催されるCOP30 、その9~12か月前に提出する次期NDCで、今回のGSTの内容がどのように反映されたかが説明されるため、その真価が分かることとなるでしょう。

ロス&ダメージについて

気候変動悪影響に伴う損失と損害を指す「ロス&ダメージ」。これに対応するための資金措置もまた、昨年のCOP27から持ち越された議題でした。しかし、本件については異例ともいえる速さで、新たな資金措置(基金を含む)の運用化に関する決定が採択されました。採択の決定後にも、基金の立ち上げ経費を中心に、各国から出資金額の表明がされるなど、COP28の中でも非常に活発化した議題であったようです。
 基金の支援対象は気候変動に対して「特に脆弱な国」、具体的には後発開発途上国(LDC)や小島嶼国(SIDS)が対象とみなされています。なお資金措置については構成機関である、世銀・IMF、ワルシャワ国際メカニズム、サンティアゴ・ネットワーク等と基金が定期的に対話を実施していくことが判明しています。

日本を含む各国の出資金額は以下の通りです。
・日本:1000万米ドル
・米:1,750万米ドル(議会に要求中)
・英:4,000万ポンド
・独:2億米ドル
・UAE(COP28議長国):1億米ドル
・EU:2億2,500万ユーロ(独を含む)

※外務省HP:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/pagew_000001_00015.htmlより

日本にとってのCOP28

 さて、ここまでCOP28の主だった議題に触れてきましたが、日本にとってはどのような会議となったのでしょうか。
まず、COP28の話題として記憶に残っているのは、4年連続となる化石受賞についてのニュースという人もいるかもしれません。化石賞というのは、環境NGOの「CAN」から、温暖化対策に対して後ろ向きと見られる国に贈られる不名誉な賞です。日本はCOP28だけで、岸田文雄首相の演説と石炭火力発電の温存に対して、批判を受ける形で2回も同賞を受賞しました。特に、12月1日の岸田文雄首相は1日の演説については、水素アンモニアの技術で世界の脱炭素に貢献する姿勢をアピールしたが、それがいわゆるグリーンウォッシュに過ぎないとして批判を受けた形です。とはいえ、化石賞の受賞は喜ばしいことではないものの、一大排出国である中国が長年受賞していないなど、その判断基準には不自然な面もあります。話題として気に掛けるのは良いとしても、あまり深刻に悩むものではないと言ってよいでしょう。
 それよりも、重要なのは具体的な発信内容です。国際交渉の場においては、「世界全体でパリ協定の目標に取り組むための日本政府の投資促進支援パッケージ」を公表したほか、多くの国際イニシアチブに参加。さらにジャパンパビリオンを設け、最先端の環境技術を紹介しました。会場では、王子ホールディングスから森林保全、積水化学からヘロブスカイト太陽電池、IHIからアンモニア、三菱UFJ銀行からトランジション・ファイナンスについての取り組みが紹介されました。

まとめ

 最後に、今回のCOPの要点を短くまとめました。来年のCOP29までに概要だけでも覚えておいていただければ幸いです。
①化石燃料の廃止については、少し前進して、石炭以外も廃止の方向に動き出した。
②グローバル・ストックテイクを盛り込んだ文書が採択され、今後のNDCにその内容が反映される。
③ロス&ダメージの対策として基金が設立され、日本は1,000万米ドルの出資を行った。
④日本は化石賞を取ったが、本筋とはあまり関係なく、多くの国際イニシアチブに参加した。

以上がCOP28の主だった成果です。

Sus&Us編集部

この記事をシェアする

TOP