事業会社、財団、学校法人などに支えられているSDGs債
環境・社会課題解決を目的に発行するSDGs債。
みずほ証券によると、国内公募債市場のSDGs債発行実績は、
2022年12月2日時点で21年度比16%増の3兆4383億円。
発行額は過去最高を更新した。
低炭素社会への移行を目的として2020年度に登場した、
事前に定めた環境目標の達成可否で条件が変化するトランジションボンドなど、
新たなSDGs債が発行額増加に寄与しているようだ。
もちろん、環境関連事業向けのグリーンボンドや
社会貢献事業向けのソーシャルボンドといった既存のSDGs債も、
発行額の増加ペースは落ちていない。
そして、国内債市場に占めるSDGs債の割合は2022年度上期で21%と、
21年度より9ポイント上昇している。
その背景にあるのは、国内投資家の層の厚みだ。
SDGs債は投資家が投資表明を行う慣習があるため、
投資表明から投資家層を割り出すことができる。
みずほ証券の調べでは、2022年度は2,400を超える投資家が投資表明を行っているが、
このうち事業会社、財団、学校法人などの「諸法人」が59%を占めている。
通常の債券は金融機関の投資家が全体のほとんどであるのに対し、
SDGs債の地域金融機関の割合は23%であることを考えると、
SDGs債の購入層が特別であることがわかる。
そういった背景をうけ、
2023年度も国内のSDGs債発行額は増加基調が続くと予想されている。
2022年10月にマルハニチロが初めて発行した、
海洋保護や水に関わる事業資金の調達のための債券、
ブルーボンドも発行増加が期待される。
また、ロシアのウクライナ侵攻を機に、
食料の安定調達についても世界の関心が集まっている。
これまでは、脱炭素ばかりが前面に出たSDGs債だが、
今後は生物多様性など、
新たな社会課題解決に関するファイナンスへの拡大が期待されている。
Sus&Us編集部