太陽光発電の現状と課題
太陽光発電については、いたるところでソーラーパネルをみかけるなど、かなり普及しているように見受けられますが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は太陽光発電の現状について、調べてみることにします。
FIT制度がはじまって10年間で、設備容量は12倍増
国内の太陽光発電の設備容量は、2012年に固定価格買取制度(FIT)がスタートしたことで、以降10年間で約12倍になっています。その実績値は、アメリカについで3位(2021年度)であり、国土面積当たりでは、主要国の中で最大です。
近年は導入件数の増加率が落ち着いているものの、着実に導入件数が増えています。
太陽光発電のメリットは、脱炭素により環境負荷低減に寄与できること、蓄電池の併用により停電時や災害時でも継続的に電気を供給できることなどです。反対に、初期費用が高額なこと、メンテナンスや維持費がかかることなど主に費用面のデメリットがあり、それが普及の足かせになっているようです。
■参考
一般社団法人太陽光発電協会「太陽光発電の現状と自立化・主力化に向けた課題」
脱炭素0ソリューション.com【2023年最新】日本の太陽光発電導入状況について徹底解説!
宇宙空間にソーラーパネル!?
宇宙太陽光発電システム(SSPS)という構想があります。
これは、1968年に米国のPeter. Glaser博士が提唱した、宇宙の太陽光エネルギーを地上に送る、化石燃料に頼らない社会を構築するアイデアです。
その仕組みは、宇宙空間に巨大な太陽電池とマイクロ波送電アンテナを配置し、太陽光エネルギーを電気に変換した後、さらにマイクロ波に変換して地球上に設置した受電アンテナ、レクテナへ送電して、地上で電力に再変換してエネルギー源とするものです。
今年1月、カリフォルニア工科大学の宇宙太陽光発電プロジェクト(SSPP)として、その実験衛星であるSpace Solar Power Demonstrator(SSPD-1)が2基のソーラーパネルを搭載して宇宙空間へ打ち上げられました。そして6月、同大学は、宇宙空間におけるワイヤレス電力伝送に成功したと発表しました。
マイクロ波でワイヤレス伝送する実証機器「MAPLE」(Microwave Array for Power-transfer Low-orbit Experiment)によって、SSPD-1で生み出された電力が30cmほど離れた場所にある受信機へと送電されLEDが点灯。さらにはその電力が、パサデナの同大学キャンパス内、ゴードン&ベティ・ムーア工学研究所(Gordon and Betty Moore Laboratory of Engineering)の屋上に設置された受信機で検出されたのです。
このことは、宇宙空間でつくられた太陽光エネルギーから、無限に電力が供給される可能性を秘めています。昼夜・季節などを問わず、電力が宇宙から供給される遠い未来。考えただけでもわくわくします。
ただし、現状ではコストの問題や、さらには実用化に向けたさまざまなハードルがあるため、すぐにというわけにはいかないでしょう。そして、似たようなプロジェクトは欧州や日本でも進められているとのことですので、実際にわたしたちが宇宙からの電力を使えるようになる日を首を長くして待ちたいと思います。
■参考
JAXA「宇宙太陽光発電システム(SSPS)について」
カリフォルニア工科大学の宇宙太陽光発電実証機、初めて宇宙でワイヤレス送電を実現
Sus&Us編集部