デザイン面から見る企業報告書
東洋アルミニウム株式会社『サステナビリティレポート2022』
皆さんは、企業が年に一度発行している報告書をご存じでしょうか? 企業報告書には、なじみの無い方も多いかもしれません。企業が発行している報告書には、統合報告書やCSR報告書、サステナビリティレポートなどがあり、各企業が様々なステークホルダー(株主、社会、従業員、顧客など)へ向けた報告書を発行しています。
企業報告書からは、投資家や株主、SDGsやサステナビリティに関心のある方だけでなく、就職活動や転職活動をしている方にとっても、企業の様々な活動情報を知ることができる有益な媒体となっているのです。
Sus&Us編集部の所属する運営会社では、CSR図書館.netという、企業の報告書を取り扱ったサイトも運営しています。今回は、CSR図書館.netに掲載している、東洋アルミニウム株式会社の『サステナビリティレポート2022』をピックアップして、デザインの観点から紹介します。
東洋アルミグループ サステナビリティレポート2022
サステナビリティレポートとは、企業や組織がその経済活動の中で、環境、社会、経済の側面に対する取り組みや影響を報告する文書です。主な目的としては、持続可能な社会・組織を目指し、持続可能性に関する情報を透明かつ詳細に提供することで、ステークホルダーに対する情報開示を行い、持続可能な事業活動を推進する一環となることです。
今回ピックアップした、東洋アルミグループサステナビリティレポート2022では、経営とサステナビリティの統合をテーマにした作りとなっており、SDGsの達成に向けた取り組みの紹介や海外グループ会社の活動も取り上げられています。
ここからはデザインの観点から、①カバーデザイン、②レイアウト構成の各項目にスポットライトを当てて見ていきましょう。
一目見ただけで商品を連想できる、魅力的なカバーデザイン
本の第一印象を決める重要な要素であり、本の顔とも言えるのは何といっても表紙です。報告書のテーマ、事業内容を反映したデザインなっていることで、パッと見ただけでも重要な情報を伝えることができます。その点で言うと、東洋アルミニウム株式会社のサステナビリティレポート2022のカバーデザインはとても素晴らしいものとなっています。
まず、代表的な商品でもある『サンホイル』のパッケージを連想させる配色となっていることに注目。表紙を見ただけでも、何を作っている企業か一目でわかります。また、私たちにとって身近な日用品だけでなく、太陽電池モジュールやロケット・車の関連部品、スマートフォンなどに使用されているアルミニウム顔料などが、シンプルなイラストで表現されています。どんな企業の報告書か、ということをわかりやすく伝えやすいデザインと言えるでしょう。
デザインの原則を踏まえた読みやすいレイアウト
表紙をめくり本文を見てみると、経営理念と目次から始まりますが、しっかりと表紙と同じ色調を使っているため、一貫性のあるデザインとなっています。また、白をベースとしたシンプルなレイアウトになっており、企業としての色を押し出しすぎず、しかしながら、東洋アルミニウム株式会社としてのポイントを押さえ、読み手を選ばず、読みやすいこともしっかりと考えられた、バランスの良いデザインとなっていることが伝わってきます。
ページを読み進めていくと、事業紹介として各事業部門がまとめられたページも、読ませて伝えると同時に、『見せて伝える』誌面デザインとなっています。
例えば「余白」。事業部門ごとに余白をしっかりと取ることで、ページを開いただけで事業部門がいくつあるのかがわかるでしょう。また、見出し、リード文、事業概要、代表製品の画像といった一定の法則のあるレイアウトを「反復」することで、各項目のまとまりが視覚化され、よりわかりやすい誌面構成となっています。
さらに、裏表紙にはしっかりとFSC認証、VOC FREE、バタフライマーク、ユニバーサルデザインフォント、カーボンオフセットといった、サステナビリティ関連マークの表示もしっかりとあり、『未来を創る、私が創る、みんなで創る』のスローガンを掲げている東洋アルミニウム株式会社らしく、サステナビリティレポートとしての配慮もぬかりありません。
まとめ
『東洋アルミグループサステナビリティレポート2022』では、デザインの基本原則である整列や反復、近接などを丁寧に使い、表紙では看板商品であるサンホイルを連想させるような配色にすることで、何を作っている企業なのかをわかりやすくし、読み手に対して、『伝えたい情報をしっかりと伝える』といった目的を体現した、デザインの観点から見ても素敵なものとなっていました。
本記事で、少しでも企業報告書に興味をお持ちいただけましたら、ぜひ、ご一読いただけますと幸いです。
◤東洋アルミニウム株式会社のサステナビリティレポート2022はこちらから◢
https://csr-toshokan.net/index.php?page=csr_view.pdf_viewer&csr_id=6851&
Sus&Us編集部