記事・コラムTOPICS

なぜジェンダー平等の実現は難しいのか?個人でもできることとは

SDGsでは、目標の一つとして、男女間での差別や偏見をなくし、社会・経済・政治・法などあらゆるレベルでのジェンダー平等が掲げられています。
一方、わが国ではこの目標に対する取り組みが遅れているとの指摘がなされています。

本記事では何が問題となっているのか、「思い込み」「アンコンシャス・バイアス」に着目し、一人ひとりに何ができるか考えていきたいと思います。

(2023/2/2掲載、2023/12/8更新)

ジェンダー平等が進まない理由

SDGsのゴール5に掲げられている「ジェンダー平等を実現しよう」。日本の達成度は世界の中でも大きく出遅れているといわれています(男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」より)。

具体的には、スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が毎年発表しているジェンダーギャップ指数を見ると、2023年6月時点で日本は146カ国中125位です。「教育」「健康」は世界トップクラスとされる一方、「政治」「経済」はジェンダー間の不平等が大きいとされています。前年に比べ順位・指数ともに低下しており、この数字だけで全てを判断することはできないものの、ジェンダー平等が順調に進んでいるとは言い難い状況にあることは確かです。

なぜジェンダー平等がなかなか進まないのでしょうか?

その理由の一つが、私たちの“思い込み”にあります。誰もが、無意識のうちに「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という偏見(バイアス)を少なからず持っており、それがジェンダー平等を実現する妨げになっているのです。

思い込みの例として、次のようなものがあります。

・女性には女性らしい感性がある
・男性は仕事をして家計を支えるべき
・⼥性は結婚によって、経済的に安定を得る⽅が良い
・デートや食事のお金は男性が負担すべき
・女性は感情的になりやすい
・育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない
・男性は人前で泣くべきではない
・男性は結婚して家庭をもって一人前だ
・共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ
・家事・育児は女性がするべきだ
・家を継ぐのは男性であるべきだ
・共働きで子どもの具合が悪くなった時、母親が看病するべきだ
男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」より)

…等々。いくつかは当たり前のように感じられるものもあるのではないでしょうか?

こうした自覚していない思い込みのことを「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」といいます。皆が「家事・育児は女性がする」ことを当たり前だと思っている社会では、女性が仕事をするための環境は整いません。思い込みがジェンダー平等の妨げになっているとは、そういった意味です。

思い込みに気づくために

忘れてはならないのが、こうした無意識の思い込みが他人を苦しめたり、生き方の選択肢を狭めてしまうことがあるということです。

この現状を変えるには、自分が偏った見方をしていたことを自覚し、より公平な見方を身に付けていくしかありません。

無意識の偏見に気づくというのは非常に難しいことです。ジェンダーの不平等を解消するために「女性の活躍を推進する委員会」を設立したものの、そのメンバーが男性だけで構成されていた(そしてそれがおかしいと思わなかった)……なんていう事例も実際にあるくらいです。

まずは、自分が当たり前だと思っていることに「それ本当?」と疑問を持ってみることが大切です。
自分の考えとは反対の意見を耳にしたら、すぐに否定はせず、「もしかしたら一理あるかも?」と立ち止まってみることも有効です。

思い込みのパターンを知っておく

また、こうした思い込み(バイアス)には多くの人に当てはまる一定のパターンがあります。よくあるパターンを知っておけば、自分が偏った見方をしていたことに気づきやすくなります。

【確証バイアス】
自分に都合の良い情報ばかり求め、都合の悪い情報は目に入らなくなってしまう傾向。

(例)
「男性より女性のほうが気配りができる」と思っているために気配りのできる男性は目に入らず、気配りのできる女性ばかりが目に入り、ますます自説が正しいと思い込む。

【現状維持バイアス】
知らないことや経験したことのないものを受け入れたくない、今まで通りでよいと考える傾向。

(例)
「これまでうちの部署は男性社員だけでうまくやってきたから女性は必要ない」と考える。

【公正世界仮説】
(この世界は公正にできているはずだから)良いことをした人には良い結果が、悪いことをした人には悪い結果があるはずだと考える傾向。

(例)
性被害にあった女性に対し、「露出の多い服装をしていたから仕方ない」と考える。

【システム正当化】
差別など一部の人に不利益があろうとも、今この世界がそうなっている以上、それは妥当・自然なことだと考える傾向。

(例)
「女性が仕事を辞めて育児に専念するのは、現にそういう役割分担が機能しているのだから当然だ」と考える。

【利用可能性ヒューリスティック】
身近な友人の事例や直前に聞いた情報など、自分が入手しやすい・思い出しやすい情報だけで判断してしまう傾向。

(例)
知り合いの女性は皆主婦で楽しそうにしているから、「女性の幸せは家庭を守ることにある」と考える。

思い込みは誰にでもあります。大切なのは、それが人を傷つけるものでないか自覚し、改善していくこと。一人ひとりのそうした積み重ねが、ジェンダー平等の実現につながるはずです。

Sus&Us編集部

この記事をシェアする

TOP