記事・コラムTOPICS

キーワードでわかるSDGs「グリーンボンド」

SDGsには、なんだか難しそうと感じる言葉が多く使われています。
その言葉の意味を知れば、SDGsをもっと身近に感じるはず。
今回は「グリーンボンド」について解説します。

グリーンボンドとは

地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取り組み(グリーンプロジェクト)のために資金調達する目的で発行される債券のことを、「グリーンボンド(Green Bond)」といいます。
2008年に、世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)が初めて「グリーンボンド」という名称で債券を発行。自らの環境分野への取り組みや貢献をアピールしました。2014年1月には国際資本市場協会(ICMA)が「グリーンボンド原則」(The Green Bond Principles:GBP)を策定したこともあり、環境への関心の高まりとともに、その後、次々とグリーンボンドが発行され、市場規模は拡大しています。

グリーンボンドの特徴

グリーンボンドは発行側や投資家側だけではなく環境や社会面にもメリットがあるため、世界中が注目しています。特徴として、調達資金が確実に追跡管理され、資金の使い道について発行後のレポーティングを通じ透明性が確保されるという点があります。
発行主体は、グリーンプロジェクトを行う一般事業者自身や、グリーンプロジェクトに投資・融資を行う金融機関、そして地方自治体。具体的には日本政策投資銀行や東京都、三井住友銀行、三菱UFJFG、三菱地所、大王製紙、丸井グループやエネルギー関連企業などが挙げられます。
投資家側は、ESG投資を行っている年金基金・保険会社などの機関投資家、ESG投資の運用を受託する運用機関、資金の使途に関心を持っている個人投資家などです。

グリーンボンドの種類

グリーンボンド原則に規定されているグリーンボンドの種類は、以下の4つです。それぞれ、償還するための原資などの点で違いがあります。

1 スタンダードなグリーンボンド(Standard Green Use of Proceeds Bond)
特定の財源によらず、発行者のキャッシュフロー全体を原資として償還を行う。

2 グリーンレベニューボンド(Green Revenue Bond)
対象となる公的なグリーンプロジェクトの事業収入や、自治体であれば公共施設の利用料、税金等を原資として償還を行う。例えば、廃棄物処理事業で、施設の整備・運営等を資金使途とし、当該事業の収益のみを原資として償還を行う債券など。

3 グリーンプロジェクトボンド(Green Project Bond)
単一または複数のグリーンプロジェクトの事業収入を原資として償還を行う。例えば、再生可能エネルギー発電事業を行う企業が、事業に必要な施設の整備・運営等を資金使途とし、当該事業の収益のみを原資として償還を行う債券など。

4 グリーン証券化ボンド(Green Securitized Bond)
グリーンプロジェクトに関する資産(融資債権、リース債権、信託受益権等)を担保に、これらの資産から生まれるキャッシュフローを原資として償還を行う。例えば、省エネ性能の高い機器・設備・住宅等、電気自動車や水素自動車等の低公害車などにかかる融資債権等を裏付けとするABS(資産担保証券)など。

グリーンボンドの発行メリット

グリーンボンドは、環境や社会面に恩恵がありますが、発行側や投資側にもメリットがあります。具体的には下記が挙げられます。

【発行側のメリット】
1 サステナビリティ経営の推進
組織のサステナビリティ戦略、リスクマネジメント、ガバナンスの強化につながる。そして中長期的にESG評価が向上、ひいては企業価値が向上する。
2 社会的支持の獲得
グリーンプロジェクトの推進に積極的であることをPRできるため、社会的支持が獲得できる。
3 資金調達基盤の強化
サステナビリティへの取り組みを評価する新しい投資家と関係を築くことができ、資金調達基盤が強化される。

【投資側のメリット】
1 社会的支持の獲得
グリーンプロジェクトへの資金供給をアピールすることにより、社会的支持の獲得につながる。
2 投資利益とサステナブルな活動の両立
債券投資による利益を得ながら、サステナブルな社会の実現に貢献できる。
3 グリーンプロジェクトへの直接投資
再生可能エネルギー事業や省エネルギー事業等のグリーンプロジェクトに関連するグリーンボンドへ投資することにより、事業に直接関連した投資を行うことができる。
4 オルタナティブ投資によるリスクヘッジ
オルタナティブ投資の側面を持つグリーンボンドは、株式や債券等の伝統的資産との価格連動性(相関性)が低いため、分散投資によるリスク低減が図れる。
5 エンゲージメント(対話)の実施
環境改善効果等に関する非財務情報が発行側から開示され、環境改善効果やそのインパクトについて効果的なエンゲージメントを実施することが可能となる。それにより、中長期的な投資成果の向上という好循環が生まれ、ひいては持続可能な社会の構築につながる。

環境省はグリーンボンドの普及を図るべく、市場関係者の実務担当者向けにガイドラインを公表していますので、もっと知りたい方は目を通してみるといいでしょう。

Sus&Us編集部

この記事をシェアする

TOP