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【取材レポート】SDGs未来都市・相模原市のサステナブルな取り組みを体験!③
~太陽光発電を活用した未来の農業~

サスアス編集部は、全国でも有数のSDGs先進都市として知られる神奈川県相模原市の「『SDGs未来都市 相模原』を体感するプレスツアー」に参加してきました。

3回にわたりその模様をお届けしている本連載の第3回では、太陽光発電を活用した未来の農業のカタチをご紹介します。

【レポート内容(全3回)】
第1回:相模原市南清掃工場
 相模原市のSDGsへの取り組み概要、ごみの資源化・原料化
第2回:日本フードエコロジーセンター・さがみはらバイオガスパワー、火焔山餃子房
 食品ロスに対する最先端の取り組み
第3回:さがみこベリーガーデン(今回)
 太陽光発電を活用した未来の農業

ソーラーシェアリングで地産地消

自然豊かな緑区青野原にある「さがみこベリーガーデン」は、36種類1100本のブルーベリーを育てている農園です。
見渡す限り緑に囲まれた雄大な景色を眺めながら到着すると、一見して普通の農園とは異なることがわかります。

育てている木の上に屋根が……?

近づくとわかりますが、屋根ではなくソーラーパネルでした!

実はこれはソーラーシェアリングと呼ばれる、「太陽光を発電と農業で共有」するというものなんです。

従来の太陽光発電のようにパネルを一面に敷き詰めるのではなく、農地の上部に隙間を空けて設置することで、農作物と電力を同時に得ることができるという日本発の技術です。

従来の太陽光発電では山林を切り開いて太陽光パネルを敷くことも行われてきましたが、災害や生態系への影響、景観を損なうことなどかえって環境に負荷を与えるリスクが指摘されていました。

一方、このソーラーシェアリングでは一つの土地から農作物と電力を生み出すことができるため、環境への負荷を抑えながら土地を有効活用し、食とエネルギーの地産地消を実現することができます。

少しずつ普及が進んでおり、2021年度末時点でソーラーシェアリング可能な農地が全国4,349件許可されています。

なお、ソーラーシェアリングは「営農型太陽光発電」として国により推進されていますが、近年は発電事業を優先して営農をおろそかにする事例も見られたため、2024年4月1日に農地法施行規則が改正され、ガイドラインも策定されました(営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱い に関するガイドライン)。現在まさに制度の枠組みも調整しながら普及を図っている段階といえます。

遊休農地で未来の農業を始める

緑区青野原は豊かな自然が残る一方、過疎化・高齢化が進み、耕作放棄された農地が増加しているという問題があります。

さがみこベリーガーデンがある土地もその一つ。遊休農地となっていた場所を活用し、2023年6月から体験型の農園として本格的に開園しました。

そこで取り入れたのがソーラーシェアリングという技術です。環境負荷の低減を図るのはもちろんのこと、未収穫期でも売電により収益を確保することができ、電力の自家利用による電気代節減も可能であるため、遊休農地の有効活用に最適なのです。

ソーラーシェアリングの導入は相模原市ではここが初めて。食とエネルギーの自給率向上、スマート農業による生産性向上、障害者や地域住民の雇用創出など、地域の活性化と課題解決を目指した取り組みは、「さがみはらSDGsアワード2023市長賞」の受賞をはじめとし、注目を集めています。

ちなみに、太陽光パネルが一部の日光を遮ることになるため、ちゃんと作物が育つのか?という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、ブルーベリーをはじめ、日光が少なくても育ちやすいお茶や稲、さつまいも、トマト、キャベツ、レタス、ぶどう、ももなどの農作物は問題なく育つそうです。むしろ日陰ができることで作物の葉焼け・高温障害の防止に役立つという面もあるとされています。

楽しみながら学ぶSDGs

さがみこベリーガーデンの最大の魅力は、そうしたソーラーシェアリングの技術を間近に見ながら、ブルーベリーの摘み取りやスムージー作りの体験も楽しめること。

筆者も体験させていただきましたが、ブルーベリーは品種によって大きさも味もさまざま。食べ比べが思いのほか楽しく、自分のお気に入りの品種を見つけたり、スーパーに並ぶ商品ではなく木から収穫して食べるという体験は、「食べること」の豊かさや自然への関わり方を考えるきっかけにもなりました。
スムージーもとてもおいしかったです!


ほかにも、ブルーベリーの受粉を手伝ってくれるミツバチの飼育も行っており、自然の循環を見て感じることができます。
また、ワイン用のブドウ作りも進めているとか。まだオープンしてから1年余りの新しい取り組みだからこそ、今後どのような展開を見せてくれるのか、応援しながら見守っていきたいと思います。

スタディツアーも実施

さがみこベリーガーデンへの来園は予約制で、下記から申し込むことができます。
ブルーベリーのシーズンは6〜8月で、9月から5月までは小学校から大学、企業や各種団体を対象とした団体向けのスタディツアーも実施しています。
詳しくは下記をご覧ください。
https://note.com/sagamico_farm/n/nf3f8628aa2f1

【さがみこベリーガーデン】
所在地:神奈川県相模原市緑区青野原329(地図はこちら
開園時間:10:30~15:30
電話番号:050-3578-3356(9:00~17:00)
HP:https://www.sagamico-bg.org/

運営:株式会社さがみこファーム

Sus&Us編集部

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