11月20日は世界こどもの日!
―子供たちを取り巻く社会問題―
11月20日は世界こどもの日とされています。国際連合によって制定された国際記念日の一つで、子供たちの権利や福祉の向上、相互理解について考えることを目的としています。
SDGs(持続可能な開発目標)には、SDGs1「貧困をなくそう」、SDGs2「飢餓をゼロに」、SDGs3「すべての人に健康と福祉を」、SDGs4「質の高い教育をみんなに」といった子供たちを取り巻く様々な社会問題とも関連する目標があります。世界こどもの日を機に、子供たちを取り巻く社会問題について見ていきましょう。
・児童虐待問題
児童虐待相談対応件数が年々増加しており、2022年の速報値では21万9,170件にも及び、前年度よりも11,510件増加で過去最多となっています。相談の内容は、心理的虐待、身体的虐待、ネグレクト、性的虐待などが含まれており、特にネグレクトの件数が前年比の+13%と最も多く増加しています。
児童虐待の背景には、仕事や家庭内で生じるストレス、経済的困窮、社会的孤立などが挙げられます。また、虐待を受けて育った子供が成長して親になり、自分の子供にも虐待をしてしまうといった負の連鎖も問題です。
これらの事態は深刻であり、児童虐待の防止や対応には社会全体での取り組みが必要です。支援体制の充実や啓発活動、心の健康へのサポートなど、包括的かつ継続的なアプローチが求められます。
・令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)
・子供の貧困問題
貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の二つの側面があります。前者は主に発展途上国でみられ、必要最低限の生活水準を満たせていない状態を指します。後者は日本や欧米のような先進国における平均可処分所得の半分以下での生活を余儀なくされている状態のことです。日本の相対的貧困率は15.4%となっており、6.5人に1人が相対的貧困者として生活していることを示しています。特にひとり親家庭では相対的貧困率が50%に達しており、状況が深刻です。
このような環境で育つ子供たちは、適切な教育を受けることが難しく、低賃金で働かざるを得ない状況に追い込まれたり、栄養のある食事を摂ることが難しかったりします。このような状態は身体的・精神的な健康や成長に悪影響を与える可能性があります。そして、成長した子供たちが大人になっても貧困の連鎖から抜け出せない状況が生まれることもあります。このサイクルを断ち切るためには、包括的な社会的支援や経済的な取り組みが必要です。
・ヤングケアラー問題
ヤングケアラーとは未成年者で、身近な家族の一員が慢性疾患や障害を抱え、その介護責任を担っている子供や若者のことを指します。ヤングケアラーは中学生の17人に1人はいるとされ、彼らは、勉強や友達と遊んだり、部活動に打ち込んだりといった貴重な子供時代の経験が制限され、精神的・身体的な負担を抱えがちです。
ヤングケアラーの多くは自らがその立場にあることに気づいていないか、自覚があっても「助けて」と言い出せない場合があります。そのため、実態を正確に把握することが難しく、彼らへの適切なサポートが十分に行き渡っていない状況があります。
ヤングケアラーへの理解を深め、子供たちが健やかに成長できるようにするためには、社会全体でのサポート体制の整備が必要です。
【関連記事】
・子どもを取り囲むヤングケアラー問題 支援と私たちができることについて
・私たちにできること
子供たちを取り巻く社会問題は、親の経済的な問題から生じる生活困窮や社会的孤立が主な原因となっています。これらの問題を解決するためには、子供たちだけでなく親への支援も重要です。国や地方自治体は、親の就業支援や補助金・福祉の提供などを通じてサポートを行っています。民間団体は食料支援や子供たちが安心できる居場所の提供など、様々な取り組みを行っています。
私たちひとりひとりができることとしては、支援団体を通じた募金による金銭的支援やフードドライブを活用した食料支援、ボランティアへの参加などが挙げられます。個々の小さな行動が大きな変化を生む一翼を担うことができるかもしれません。
世界こどもの日をきっかけに、「SOS」のサインを出せずにもがいている子供たちに目を向け、子供たちが笑って輝ける未来を作る為にはどうしたらいいか、一緒に考えてみませんか?
【参考元】
・日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
・NPO法人ブリッジフォースマイル
・NPO法人日本こども支援協会
Sus&Us編集部