ごみが資源になる!?ごみを利用した企業の「再生産」戦略
廃プラスチックなどのごみ問題がさかんに話題に上がっています。
ゴミを出さないようにする、そのまま再利用する以外の部分の取り組みはどうなっているでしょうか。
今回、ごみを資源として再生産する取り組みにスポットをあててみました。
生ごみが新しい素材に!?
規格外の野菜や端材など、様々な食品廃棄物から新素材を作る技術を開発した町田CEOが率いるfabula株式会社。食品廃棄物を乾燥させ、粉末状にし、その粉末を金型に入れて熱圧縮することで無数の色やテクスチャー、香りなどの特徴を生み出すとともに、小物から家具、建築材料などの製品製造を可能にしています。
同社のキャッチフレーズは、「ゴミから感動をつくる」。
コンクリートの強度より高強度な製品を、食品廃棄物からつくるなんて、夢のような技術です。
さまざまな製品製造が可能とのことで、ぜひたくさんの企業とコラボした商品化をいただきたいと思っています。
fabula株式会社
カーボンリサイクルセメントとCO2が固定化されたコンクリート
コンクリートの原料であるセメントは、もともと都市廃棄物や災害廃棄物などを活用してつくられていることから、資源の再生産に貢献している材料です。しかし、セメント製造のプロセスでは、CO2が大量に排出されています。
この問題の解決に、「カーボンリサイクルセメント」の構想が持ち上がっています。
これは、セメントの生成時、主原料である石灰石(CaCO3)からCO2が大量に発生するため、発生したCO2を廃コンクリートなどの廃材などから取り出したカルシウム(CaO)に吸着させて、石灰石の代替である人工石灰石、「炭酸塩(CaCO3)」を生成するものです。
発生したCO2を回収し、それを主原料である石灰石の生成に利用することでCO2削減効果が期待できるこの技術は、2030年までに実用化される計画です。
コンクリートについては、CO2を取り込み固定化させる技術はすでに開発されていて、舗装ブロックに使われるなど実用化が進んでいます。今後は、CO2固定量を最大化させるとともに、コンクリート製造手法のコスト削減に向けた技術開発が進められる予定です。
参考:資源エネルギー庁「コンクリート・セメントで脱炭素社会を築く!?技術革新で資源もCO2も循環させる」
廃油も回収
廃油の再利用も少しづつ進んでいます。
産業廃棄物としての廃油は、専門の業者が回収・再生処理。再生重油や潤滑油、補助燃料などに再生製品化されています。
なかなか再利用が進まない一般家庭の廃油についても、近年、回収する自治体が増えてきています。家庭用から回収される廃食用油は、バイオディーゼル燃料やせっけん、肥料・飼料にリサイクルされます。回収する一般事業者も徐々に増えているため、今後は廃油の再生が本格的になりそうです。
参考:全国オイルリサイクル協同組合「廃油リサイクルの仕組み」
葛飾区「家庭から出る廃食用油を回収しています」
まとめ
家庭の生ごみは、コンポストによる堆肥づくりなどがよく知られています。一方、食品産業から排出される大量の生ごみについて、堆肥以外の用途が確立されたのは喜ばしいことです。
今回、セメント・コンクリートや廃油についてもとりあげてみましたが、限りある資源が有効に使われるのはなによりのことです。今後もどんどん、再生産される技術が生まれてほしいと願ってやみません。
Sus&Us編集部