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SDGs実現の切り札?ユニバーサルデザインについて解説

多くの企業や自治体が掲げている「ユニバーサルデザイン」。

本記事では、SDGsの実現にもつながる考え方として注目されているユニバーサルデザインについて、具体例も交えながら解説していきます。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン(UD:Universal Design)とは、障害の有無、年齢、性別、人種、文化、国籍などの違いにかかわらず、すべての人が利用しやすいように設計されたデザインのことをいいます。

具体的には、自動ドアやピクトグラムが代表例に挙げられます。

自動ドア
ドアを押し引きしたりして開ける必要がないので、子どもも高齢者も、車椅子やベビーカーの利用者も無理なく利用できる。

ピクトグラム
文字に頼らないデザインで情報を表すため、子どもや視力が低下した高齢者、日本語がわからない外国人もひと目で理解することが可能。

自動ドアの例からもわかるように、「デザイン」には見た目だけでなく、機能や仕組みなども含むため、ユニバーサルデザインは製品や建物、まちづくりに至るまで日々の暮らしのさまざまな場面で見つけることができます。

ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインという言葉は、1980年代に建築家のロナルド・メイス氏(米、1964-1998)が提唱し、世界へ広がっていきました。それまでは障害者や高齢者にとって不便なこと(バリア)を取り除くというバリアフリーの考え方はありましたが、自身も障害のあるメイス氏は障害者として特別扱いされることや、わざわざバリアのあるものを作って後から修正するという在り方に疑問を持ち、「そもそもバリアのない社会をつくろう」という考えを広めていったのです。

その基本となる考え方は、彼が建築家やデザイナーらとまとめた「ユニバーサルデザインの7原則」に示されています。

ユニバーサルデザインの7原則
①誰でも公平に利用でき、容易に入手できること
 例)自動ドア、出し入れ口が横にあるドラム式洗濯機、ユニバーサルフォント

②使う上でいろいろな方法を自由に選べること
 例)左右の手で使えるハサミ、高さの異なる手すり

③使い方が簡単・単純ですぐわかること
 例)動く歩道、差し込み方向を示すカードの切りこみ

④必要な情報がすぐに理解できること
 例)ピクトグラム、音声・イラスト・色で伝える信号機

⑤うっかりミスや危険につながらないデザインであること
 例)扉を開けると停止する電子レンジ、駅のホームドア

⑥無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
 例)センサー式の蛇口、電子マネー

⑦使いやすい大きさ・スペースを確保すること
 例)多機能トイレ、幅広の改札、ボタンの大きなリモコン

これらに加え、低コストで美しいデザインであることも重要だとされています。

なお、バリアフリーについては「バリアフリーは今どうなっている?基本的な意味や最新動向を紹介」の記事もご参照ください。

SDGsとの関係性

17の目標が掲げられているSDGs(持続可能な開発目標)ですが、その中心にあるテーマは「誰一人取り残さない」という考え方です。これはまさにユニバーサルデザインと共通する考え方です。

具体的なゴールとしては、特に「10.人や国の不平等をなくそう」との関わりが深いといえます。

ゴール11:人や国の不平等をなくそう
2030年までに、「年齢」「性別」「障害」「人種」「民族」「出自」「宗教」「経済的地位」その他の状況に関わりなく、すべての人々が能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすることが掲げられています。

その他、ゴール4、11などとも関連しています。

ゴール4:質の高い教育をみんなに
子ども、障害、ジェンダーに配慮した教育施設を整備し、すべての人々を取り残さない、安全で非暴力的、効果的な学習環境を提供できるようにすることが掲げられています。

教育現場でもユニバーサルデザインが取り入れられており、黒板周りをすっきりさせて情報刺激を減らす、前置きしてから指示を出す、複数のプリントを用意するなどの工夫が行われています。

ゴール11:住み続けられるまちづくりを
2030年までに、女性、子ども、高齢者、障害者を含め誰でも安全に緑地や公共スペースを利用できるようにすることが掲げられています。

イス型のブランコや幅の広いすべり台などの遊具、刺激の少ない色使い、強い日差しを遮る日除け、さまざまな高さのベンチ、複数カ国語の園内放送といった公園整備をはじめ、歩道や建物の入り口に段差を設けないなどのまちづくりが行われています。

ユニバーサルデザインを取り入れよう

ユニバーサルデザインの考え方は、どんな企業であっても役に立ちます。例えば、名刺や会社案内などのパンフレット、サステナビリティレポートなどの各種報告書、WEBサイト、商品パッケージや説明書、カタログなど、さまざまな場面で取り入れることができます。

パンフレット・報告書
情報を体系的に整理し、平易な表現やイラスト・図表・写真を使用してわかりやすくするとともに、読みやすい文字の大きさやフォント、レイアウト、色弱者等に配慮した色使いにすることで、より多くの人に伝えることができます。

WEBサイト
パンフレット・報告書と同様に、可読性・判読性・視認性に配慮したデザインとするほか、シンプルな階層構造、レスポンシブ対応、検索窓の設置などにより多様なユーザーの利便性を向上させることができます。

商品パッケージ
ひと目見て商品の内容や性質、注意事項がわかるデザインにするとともに、持ちやすさや開封のしやすさ、捨てやすさや安全性などに配慮することで、できるだけ多くの人が使いやすいパッケージにすることができます。

まとめ

ユニバーサルデザインは、皆にやさしいデザインとして身近な文房具や家電から道路、標識、教育現場までさまざまな場面で多く活用されています。

SDGsのテーマ「誰一人取り残さない」と共通する考え方であり、ユニバーサルデザインへの取り組みがSDGsの実現につながるといえます。

なお、サスアスではSDGsをデザインの力で実現することを目指し、「SDGs×デザインサービス」を提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。

Sus&Us編集部

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