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10月から始まるインボイス制度 電気代値上げの実態とその仕組みとは

インボイス制度の導入で、僅かながらも電気代が値上がりへ

 2023年10月から消費税のインボイス制度が始まることに伴い、僅かながらも、毎月の電気代が値上がりすると見られています。値上がりは来春以降で、その額は月1~2円程度であるものの、電力会社の負担分を電気代に上乗せする形となるため、反対や不満の声が上がっている現状です。そして、インボイス制度による値上がりは一般家庭の太陽光パネル等で発電された電気を買い取るFIT制度や、電気料金に含まれる再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とも関わってきます。
 本記事では、インボイス制度による電気料金値上げでは何が行われているのか、再エネにはどういった影響が及ぶのかについて解説していきましょう。

 まずインボイス制度とは、正式名を「適格請求書等保存方式」と言い、適格請求書(インボイス)と呼ばれる請求書を受け取った事業者のみが、仕入税額控除を可能にする制度となっています。
 仕入税額控除とは、事業者が商品やサービスを仕入れる際に支払う消費税を売上時の消費税と相殺する制度のこと。当然ながら、消費税制度において売り手は販売時に消費税を徴収・納税する役割を担い、買い手は消費税を支払いますが、電力会社の場合は買電時に支払う消費税と売電時に受け取る消費税が相殺関係にあると見なされることで、納税の必要がありませんでした。
 一方、インボイス制度開始後に仕入税額控除を受けるには、インボイスが必要となります。
 しかし、売上1,000万円以下の事業者やFIT制度で電気を買い取ってもらっている一般家庭など、免税事業者のインボイス対応は任意とされています。そのため、電力会社は全国に280万軒も存在する発電容量10kw以下の太陽光発電事業者(2020年時点、太陽光発電協会調べhttps://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/session2_03_jpea_takahashi.pdf)から買電する際に、インボイスを受け取れず仕入税額控除が適用ない可能性があります。控除が適用されない状態では、売電時に受け取った消費税を納入しなければならない状況になるため、年間約58億円の納税負担が生じることが予測されています。
 そして、この58億円の負担を補填する策として経済産業省が考えるのが、再エネ賦課金への転嫁というわけです。

まとめ

 再エネ賦課金を介した負担増は、先述のように月当たり1~2円ほど。1kw/h当たりに換算すれば0.007円程度とされています。一般家庭への負担は少ないものの、制度反対派からは、負担の押し付け合いとも見られる状況への懸念や、既に遂行されてきた電気代値上げと合わさっての不満の声が上がっているようです。
 原油価格の高騰や、原発処理水の放出をめぐる種々の議論など、発電事業における問題が止まない中で、再エネについては素直に進展を望める状況が待ち遠しいところです。

Sus&Us編集部

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