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駐車場こそ、太陽光発電の意外な適地
注目を集めるソーラーカーポートとは?

太陽光発電に最適な、街中の平地といえば…

 カーボンニュートラルを目指す中で、さまざまな再生可能エネルギー(以下、再エネ)を耳にすることが多くなりました。その中でも特に代表的で私たちに馴染みがあるのは、やはり太陽光発電でしょう。
 しかし、国土が狭いうえに山地の割合が多い日本は、太陽光発電に適した平地が少ないという悩みを抱えています。しかも再エネ適地の多くは、電力需要地から遠く離れた場所に位置しているのがほとんどです。電力需要の少ない土地では、電力系統※1の容量が少ないため、せっかく発電しても系統接続をして送電するのに、多くの手間がかかってしまいます。
 そこで注目されているのが、送電容量が多めに確保できる街中で、広い面積を有する駐車場を太陽光発電所にする動き。すなわち、ソーラーカーポートです。

 基本的に、ソーラーカーポートは大きく2種類に大別されます。ひとつは駐車場の屋根として太陽光発電パネルや架台を用いる「太陽光一体型カーポート」、もうひとつは既に設置されている駐車場の屋根上に太陽光発電パネルを設置する「太陽光発電搭載型カーポート」です。

太陽光発電と駐車場のシナジー

 ソーラーカーポートの肝要な部分は、先述のように発電と送電の両立を可能とする点にありますが、駐車場だからこその魅力も存在します。
 具体的には、
①駐車場ならば個人や中小企業でも所有できるため、適地の候補が多く残っている
②車の日差し除けや雨をしのぐ屋根として活用できる(太陽光一体型カーポートの場合)
③建築物の屋根上と比較して低額で導入しやすい(太陽光発電搭載型カーポートの場合)
④EV(電気自動車)の充電に適している
 などです。

 とはいえ、ソーラーカーポートの導入に際して注意すべき点も存在します。
 ソーラーカーポートは地上設置型の太陽光発電設備と異なり、パネルの下での駐車場用途があるため建築物に該当することとなります。さらに条件によっては、確認申請が必要な特殊建築物として扱われる場合もあるため、基準風速や垂直積雪量、地盤条件等をクリアした、建築基準法上の構造安全性が必要とされているのです。
 こうした要件を安全かつ確実に満たすため、ソーラーカーポートを建築するには、現場確認から完了検査受検・検査済証受領・引き渡しまで2~5か月ほど掛かる見込みとなります。
 この気軽に導入できない点というのが、もしかするとソーラーカーポート導入における一番の難敵かもしれません。

駐車場の屋根ではなく、路面を発電所にする企業も

 現在、ソーラーカーポートを手掛ける事業者は、それぞれがその料金プランや架台で工夫を凝らし、差別化を図ろうとしています。初期負担ゼロ円のプランや、車の導線を邪魔しない2本脚の架台の開発、人工衛星を用いての適地発見など、その取り組みはさまざまです。
 そうした中、大きな注目を集めているのがMIRAI-LABO株式会社が進める、太陽光路面発電パネルの実用化です。同社が開発する太陽光路面発電パネルSolar Mobiwayとリフィルバッテリー式発電機G-CROSSを組み合わせた自律型エネルギーシステムを屋上駐車場エリアに設置することで、屋根ではなく、路面を太陽光発電所に変えてしまおうというのが同社の試みです。
 すでに日本パーキング株式会社と資本業務提携を結んで実証実験を進めており、新たなエネルギーインフラサービスの運用に乗り出しています(参考記事:https://susus.net/release/16996/




※1:送電網・配電網のこと。電気を各地へ送るためのシステムで、各系統ごとに電気を流すことのできる容量が決まっている。

Sus&Us編集部

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